マイクロプレートシールで実験の正確性を向上。選定時の比較項目とは

新薬開発や研究分野の実験を行う場合、一般的にマイクロプレート上のウェルと呼ばれる小さな区画にサンプルを入れて実施されます。

この際、実験結果に誤りが生じないようにするために用いられる道具がマイクロプレートシールです。

この記事では、マイクロプレートシールの概要や役割、選定時の比較項目について解説します。

なお、マイクロプレートについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

マイクロプレートシールとは

マイクロプレートシールとは、マイクロプレートのウェル部分に蓋をするように貼りつけるシート状のフィルムです。標準的なマイクロプレートのサイズに合わせてカットされています。

シールを貼ることでウェルを密封でき、ウェル内の環境を外部から隔離して保持することが可能です。

なお、マイクロプレートのウェルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

マイクロプレートシールの役割

マイクロプレートによってウェル内を保護することで、サンプルの乾燥・蒸発や漏出を防止できるほか、コンタミネーションの発生も防げます。

乾燥・蒸発の防止

マイクロプレートシールによるウェルの密封は、サンプルの乾燥・蒸発を防止するために有効です。

乾燥・蒸発によってウェル内のサンプルが濃縮されてしまうと、実験結果に予期せぬ影響をおよぼす可能性があります。

マイクロプレートシールを活用することで、想定した条件での実験が安定して行いやすくなります。

漏出の防止

マイクロプレートシールの活用によって、サンプルがウェルの外に漏出することを防げます。サンプルの漏出は実験結果に影響するだけでなく、サンプルの特性によっては事故の要因になる可能性もあります。

マイクロプレートシールでサンプルをウェル内に密封することで、実験やサンプルの保管における安全性を確保できます。

コンタミネーションの防止

マイクロプレートシールの役割の一つに、コンタミネーションの防止が挙げられます。コンタミネーションとは、混入や汚染を意味する言葉です。

ウェル内のサンプルに想定していない異物が混入すると、実験に支障をきたす場合があります。特にマイクロプレートには複数のウェルが並んでいるため、隣のウェルからのコンタミネーションが発生する可能性も考えられます。

コンタミネーションの防止には、マイクロプレートシールによるウェルの密封が有効です。

マイクロプレートシールを選定する際の比較項目

マイクロプレートシールは製品によって特性が異なるため、実験内容に適したものを使用することが求められます。

製品によって違いが生じる項目としては、以下が挙げられます。

▼マイクロプレートシールの比較項目

• 対応できる温度の範囲
• 粘着剤の有無
• 透明度の高さ
• 貼り直しの可否
• 部分的な切り取りの可否　など

製品によって対応できる温度の範囲が異なります。実験内容やサンプルの種類に応じた選定が必要です。

また、マイクロプレートシールの貼りつけには粘着剤と加圧の二種類の方式があり、加圧の方がより強い接着性が期待できます。そのため、PCRの用途においては加圧が向いています。

さらに、透明度の高さも製品によって異なることから、実験における観察性の考慮が欠かせません。

そのほか、貼り直しや部分的な切り取りが行えると実験の際に柔軟な使い方がしやすくなります。一方で、貼り直しの際にはコンタミネーションが生じないように気をつける必要があります。

各項目について実験内容との相性を考慮したうえで、適切なマイクロプレートシールを選定することが重要です。

まとめ

この記事では、マイクロプレートシールについて以下の内容を解説しました。

• マイクロプレートシールの概要
• マイクロプレートシールの役割
• マイクロプレートシールを選定する際の比較項目

マイクロプレートシールは、マイクロプレートのウェル部分を密閉する用途で使用されるシートです。マイクロプレートシールを活用することで、サンプルの乾燥・蒸発や漏出、コンタミネーションなどを防止できます。

マイクロプレートシールにはさまざまな製品があり特徴が異なるため、実験内容に合わせて選定することが重要です。

また、マイクロプレートシールだけでなく、マイクロプレート本体についても色やウェルの形状などが異なるさまざまな製品があります。実験内容に応じたマイクロプレートの選定が欠かせません。

『Aurora™ Microplates』は、シクロオレフィンポリマー製のマイクロプレートです。ガラスに近い透明性を持つことから、イメージング用のマイクロプレートに適しています。

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なお、マイクロプレートの規格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。