マイクロプレートにおけるウェル数と形状による違い。観察用途には平坦性が重要
新薬開発や研究分野の実験におけるさまざまなプロセスで用いられるマイクロプレートには、ウェルと呼ばれる複数の小さな区画があります。
マイクロプレートはウェルの数によって種類が分けられます。また、ウェルは形状によって異なる性質が生じるため、目的に応じて選定することが重要です。
この記事では、マイクロプレートのウェルについて、役割や数による違い、形状の種類を解説します。
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目次[非表示]
- 1.マイクロプレートにおけるウェルの役割
- 2.ウェル数による違い
- 3.マイクロプレートにおけるウェルの形状
- 3.1.底の形状
- 3.2.角の形状
- 3.3.ウェルの深さ・側面の形状
- 4.ウェル底の平坦性に優れた『Aurora™ Microplates』
- 5.まとめ
マイクロプレートにおけるウェルの役割
マイクロプレートのウェルにはそこにサンプルを入れて保持する役割があり、細胞の培養やデータ収集などに活用されます。
マイクロプレートには複数のウェルが並んでいるため、同一環境下におけるさまざまなサンプルについての反応・分析を効率的に実施することが可能です。
なお、マイクロプレートについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
ウェル数による違い
マイクロプレートのウェル数は、対応できるサンプルの容量や検査1回当たりのコストに影響します。
▼マイクロプレートのウェル数による違い
ウェル数 |
推奨容量 |
検査1回に対するコストの目安 |
96 |
25~340μL |
1.00~2.00ドル |
384 |
15~110μL |
0.20~0.50ドル |
1536 |
3~10μL |
0.005~0.10ドル |
3456 |
0.001~0.002μL |
0.01ドル未満 |
ウェル数が多いプレートほど1枚あたりの値段は大きくなるものの、1枚で行える検査数も増えます。検査1回に対するコストで考えた場合は、ウェル数が多いプレートのほうが結果的にコストを抑えやすいとされます。
また、一つひとつのウェルのサイズ・容量については、ウェル数が増えるほどに小さくなります。
マイクロプレートにおけるウェルの形状
マイクロプレートのウェルは、底や角の形状によって異なる性質を持ちます。また、ウェルの深さや側面の形状によって容量を抑えたウェルもあります。
使用目的に合った形状のウェルを持つマイクロプレートを使用することが重要です。
底の形状
ウェルの底部分にはいくつかの形状があり、特に96ウェルのマイクロプレートにおいてはさまざまな形状が見られます。
▼96ウェルにおける底の形状
種類 |
概要 |
F底 |
底が平らになっており、平底とも呼ばれる。 |
U底 |
底が丸くなっており、丸底とも呼ばれる。 |
V底 |
底がV字状になっている。 |
C底 |
底の角部分を埋めるようにして丸めた形状になっている。 |
観察の用途においては、底が平らなウェルが向いています。一方で、スフェロイドなど細胞塊を形成させたいときには、細胞を集めるために底に丸みや傾斜のあるウェルを使用するケースが見られます。
角の形状
ウェルには、上から見た形状が丸くなっているラウンドウェルと四角いスクエアウェルがあります。また、スクエアウェルのなかでも角が角ばっているものをスクエアコーナー、丸まっているものをラウンドコーナーと呼びます。
▼角の形状によるウェルの違い
種類 |
反応容積 |
ウィック効果(※)
|
ラウンドウェル |
小 |
なし |
スクエアコーナー |
大 |
あり |
ラウンドコーナー |
中 |
回避できる |
市販されている96ウェルのマイクロプレートは、ほとんどがラウンドウェルです。一方で、それよりも大きいウェル数の場合にはスクエアウェルが多くなります。
※ウィック効果とは、ウェルの角による毛細管現象で溶液がウェルの上方に上がってきてしまうこと
ウェルの深さ・側面の形状
ウェルの深さが通常よりも浅いウェルは、その分だけ容量が少なくなります。このようなウェルはハーフエリアや低ボリューム、ハーフボリュームなどと呼ばれます。
また、深さはそのままに側面を斜めにして先端が細くなるようにすることで容量を抑える形状のウェルもあります。
▼容量を抑えたウェルの種類
種類 |
概要 |
浅型 |
底を浅くして容量を抑えたウェル |
テーパー型 |
側面を斜めにして先端を細くすることで容量を抑えたウェル |
ウェル底の平坦性に優れた『Aurora™ Microplates』
『Aurora™ Microplates』は、シクロオレフィンポリマー製の高性能・高精度なマイクロプレートです。
Aurora™ Microplatesはウェル底の平坦性に優れており、少ないZ軸スライスでの撮影を可能にしています。また、光照射による細胞への影響も抑えられます。
プレート全体の平坦性も高いため、対物レンズのZ軸調整時間を抑えられ、測定時間を短縮できます。これらの効果により、撮影時間の短縮を実現します。
まとめ
この記事では、マイクロプレートのウェル数について、以下の内容を解説しました。
- マイクロプレートにおけるウェルの役割
- ウェル数による違い
- マイクロプレートにおけるウェルの形状
- ウェル底の平坦性に優れたマイクロプレート
マイクロプレートのウェルは、サンプルをウェル内に保持して細胞の培養やデータ収集などを行うために使用されます。
一つのプレートにおけるウェル数によって容量や検査数、コストに違いが生じるほか、ウェルの形状によってもさまざまな特徴があります。
『Aurora™ Microplates』は、シクロオレフィンポリマー製の高性能・高精度なマイクロプレートです。ウェル底とプレートの平坦性によって撮影時間を短縮できます。また、高い透明性と低い自家蛍光性を持つため、鮮明な画像での解析を実現できます。
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