細胞イメージングとは。代表的な技術と応用分野、マイクロプレート活用まで解説

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細胞の内部で起きている現象を「見える化」する技術として注目を集めているのが細胞イメージングです。創薬や疾患研究、シグナル伝達経路の理解など、幅広い分野での活用が進んでおり、近年ではハイスループット化や自動化の流れも加速しています。

この記事では、細胞イメージングの定義や特徴、代表的な技術、応用分野について解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.細胞イメージングとは
  2. 2.細胞イメージングの種類
    1. 2.1.ライブセルイメージング
    2. 2.2.蛍光イメージング
    3. 2.3.共焦点レーザー顕微鏡イメージング
    4. 2.4.ハイコンテントイメージング(HCI)
  3. 3.細胞イメージングの応用分野
    1. 3.1.創薬スクリーニング
    2. 3.2.シグナル伝達経路解析
    3. 3.3.疾患モデル解析
  4. 4.効率的な細胞イメージングは『Aurora Microplates™︎』で実現
  5. 5.まとめ

細胞イメージングとは

細胞イメージングとは、細胞の形態や動態、分子レベルでの挙動を視覚的に捉える技術を指します。画像処理技術や蛍光マーカーを組み合わせることで、細胞の状態を定量的かつ高精度に記録・解析する点が大きな特徴です。

例えば、細胞分裂の進行やシグナル伝達経路におけるタンパク質の移動を時間的に追跡できるため、動的な現象を「動画」として取得できます。こうした視覚化は、病気の原因解明や新薬候補の効果検証などに欠かせないものとなっています。

なお、基本的な細胞観察の概要については以下の記事で解説しています。併せてご確認ください。

細胞イメージングの種類

細胞イメージングにはさまざまな手法があり、それぞれ得意とする領域や解析可能なデータの種類が異なります。

ライブセルイメージング

ライブセルイメージングは、生きたままの細胞をリアルタイムで観察する手法です。

細胞は培養環境下でも常に動的に変化しており、固定して観察した場合には見逃してしまう過程が数多く存在します。例えば、細胞分裂の進行やシナプス形成の過程、あるいは薬剤投与後に細胞が示す即時的な応答などは、ライブセルイメージングでしか捉えることができません。

創薬や毒性評価の分野でも「生きた細胞のまま観察する」ことで、より生体に近いデータを得られるようになっています。

蛍光イメージング

蛍光イメージングは、蛍光色素や蛍光タンパク質を用いて細胞や分子を可視化する方法です。

この手法は、分子生物学や神経科学の分野で大きな成果を挙げてきました。ただし、光毒性や蛍光退色といった課題も存在し、撮影条件の最適化が必須です。

共焦点レーザー顕微鏡イメージング

共焦点レーザー顕微鏡イメージングは、レーザー光を用いて細胞の断層像を取得し、三次元構造を高解像度で再構築できる技術です。

この技術は、細胞骨格や細胞内小器官の三次元構造解析に特に有効であり、疾患研究や再生医療の分野で活用されています。さらに、タイムラプス観察との組み合わせにより、立体的かつ時間的に変化する細胞現象の可視化も実現しています。

ハイコンテントイメージング(HCI)

ハイコンテントイメージングは、自動化された顕微鏡と高度な画像解析技術を組み合わせ、膨大な数の細胞画像から定量的データを抽出する手法です。

数百から数千のサンプルを同時に解析可能となるため、ハイスループットスクリーニングに最適です。

細胞イメージングの応用分野

細胞イメージングは基礎研究にとどまらず、実用的な応用分野にも広く活用されています。

創薬スクリーニング

新薬開発においては、候補化合物が細胞に与える効果を効率的に評価することが求められます。細胞イメージングは、薬剤投与後の細胞形態変化やシグナル経路の応答を定量的に把握できるため、創薬スクリーニングに欠かせません。

ハイコンテントイメージングを用いて形態的・分子的な複数のパラメータを同時に評価できるようになったことで、候補物質の有効性や副作用リスクを多面的に検討することが可能となっています。

シグナル伝達経路解析

細胞内シグナル伝達は、外部からの刺激に応答して細胞が行動を変化させる仕組みであり、生命現象の根幹を支えています。細胞イメージングは、特定のタンパク質や分子が細胞内でどのように移動・局在するのかを可視化するうえで有効な手段です。

また、蛍光プローブや共焦点顕微鏡を用いた研究により、シグナル分子が活性化されるタイミングや場所を時間軸とともに明確に示せるようになりました。これにより、疾患発症メカニズムの解明や治療標的の探索につながり、バイオ医薬品開発にも大きく寄与しています。

疾患モデル解析

疾患モデル細胞を用いた研究においても、細胞イメージングは重要な役割を果たしています。特にiPS細胞や患者由来細胞を用いたモデルでは、病態を模倣した細胞の挙動を可視化し、治療薬候補の効果を検証できるようになりました。

例えば、神経疾患モデルでは神経突起の伸展やシナプス形成を定量化することで、病態進行や治療薬の有効性を客観的に評価できます。

効率的な細胞イメージングは『Aurora Microplates™︎』で実現

細胞イメージングの精度と効率を高めるためには、顕微鏡や蛍光色素などの装置・試薬だけでなく、細胞を培養・保持するプレートの性能が極めて重要です。

日本ゼオンが提供する『Aurora Microplates™︎』は、独自の高透明ポリマーと精密成形技術によって開発されたマイクロプレートで、イメージング用途に最適化されています。ガラスに匹敵する光学性能を持ちながら、樹脂ならではの加工性や耐久性を兼ね備えており、長時間の観察や高倍率撮影でもクリアな画像を提供します。

さらに、細胞培養に必要な表面改質やコーティングも施されているため、細胞接着性や増殖性にも優れています。
ハイスループットスクリーニングに適した96ウェルや384ウェルフォーマットもラインアップしており、創薬研究における自動化・大規模解析のニーズにも対応可能です。

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まとめ

この記事では、細胞イメージングについて以下の内容を解説しました。

  • 細胞イメージングの概要

  • 代表的なイメージング技術の種類

  • 細胞イメージングの応用分野

細胞イメージングは、細胞の動態や分子挙動を可視化することで、基礎研究から創薬・疾患解析に至るまで幅広く利用される重要な技術です。しかし、これらの技術を最大限に活かすためには、観察対象である細胞を最適な条件で培養・保持する環境が欠かせません。

日本ゼオンの『Aurora Microplates™︎』は、光学特性と細胞培養性能を兼ね備え、効率的かつ高品質な細胞イメージングを支えるソリューションとして研究者から高い評価を得ています。また、日本ゼオンはAurora Microplates™︎に加え、細胞培養用オリジナルコートプレートなどさまざまな研究支援製品を展開しています。

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