細胞観察の方法とは。使用される観察装置やイメージング用マイクロプレートの選び方

細胞観察の方法とは。使用される観察装置やイメージング用マイクロプレートの選び方


生物学研究や医学研究、創薬などの分野では、細胞培養によるアッセイやスクリーニングのプロセスにおいて“細胞観察”を実施します。

細胞観察は、目的や観察対象の性質に応じてさまざまな方法が用いられます。研究結果の信頼性・再現性を確保するには、観察装置を用いて安定かつ自動的に細胞の評価を行うことが重要です。

この記事では、細胞観察の技術や代表的な観察方法、評価手法、自動で細胞の評価を行える観察装置について解説します。

なお、培養細胞を用いるセルベースアッセイについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  セルベース(細胞)アッセイとは。測定用の装置やマイクロプレートの選択方法 セルベースアッセイで評価の効率性や信頼性を高めるには、アッセイの種類や検出対象などに合わせた測定装置とマイクロプレートの選択が必要です。この記事では、セルベースアッセイの概要や種類、代表的な測定装置、マイクロプレートの選び方を解説します。 日本ゼオン株式会社


目次[非表示]

  1. 1.細胞観察の技術について
  2. 2.細胞観察に用いられる代表的な方法
  3. 3.細胞観察における評価手法
  4. 4.自動で画像取得・画像データ解析ができる装置の種類
  5. 5.細胞観察・解析に適したイメージング用マイクロプレートの選び方
  6. 6.まとめ


細胞観察の技術について

細胞観察は、細胞の構造・形態・動態などを観察して生物的なメカニズムを解明する研究プロセスの一つです。細胞内の状態や動きを観察する技術は、大きく無染色法と蛍光染色法に分けられます。


▼細胞観察の技術

技術
仕組み
無染色法
細胞標本を染色せずに、光の透過率差や屈折率差を可視化する
蛍光染色法
細胞標本を蛍光マーカーで染色して、照明を照射することで蛍光を検出する


無染色法では、細胞自体に染色を行わない非侵襲的な方法によって、より自然に近い状態で細胞の形態や活動を観察します。生細胞の動態観察に適しているほか、観察した細胞をそのまま使用して次の実験工程へ移行することが可能です。

蛍光染色法では、染色による前処理工程が発生しますが、蛍光色素によって検出したい特定の細胞を識別することが可能です。また、異なる蛍光色素を組み合わせることで、複数の分子の活動や細胞間の相互作用を観察できます。



細胞観察に用いられる代表的な方法

顕微鏡(光学顕微鏡・蛍光顕微鏡)を使用した細胞観察では、観察対象の性質に応じてさまざまな方法が使い分けられます。


▼顕微鏡による細胞観察の方法

方法
概要
主な観察対象
位相差観察
細胞に光を照射して、透過する際の光路差により明暗の像をつけて観察する
無色透明の標本、生細胞
明視野観察
細胞に光を照射して、透過・反射した光の波長を基に観察する
小さく薄い標本、染色した標本
暗視野観察
細胞に偏斜照明を当てて、散乱・反射した光を基に観察する
非染色・非吸光性の細胞、明視野観察でコントラストが低い標本
微分干渉観察
細胞に照射した透過光の干渉を利用して、標本の凹凸形状を明暗の像をつけて観察する
無色透明の標本、生細胞、微小構造の細胞
蛍光観察
特定の波長を持つ光の照射によって蛍光物質を励起して、発せられた蛍光の像を観察する
蛍光色素で染色した標本、蛍光タンパク質を持つ細胞



細胞観察における評価手法

細胞観察の評価手法には、顕微鏡を利用した目視評価のほか、細胞観察装置を利用した評価があります。


▼細胞の評価手法

  1. 顕微鏡(光学顕微鏡・蛍光顕微鏡・電子顕微鏡)による手動の目視評価
  2. 細胞観察装置を使用した自動的な画像取得・画像データ解析による評価


目視評価では、観察者の個人差によって評価のばらつきが生じる可能性があるほか、細胞数のカウントや形態判別などに多くの作業時間を要する問題があります。

細胞観察装置を利用することで、従来は目視で行っていた細胞観察の評価対象をパラメータ化して、細胞の画像を取得できます。取得した画像データの解析により、細胞の構造や活動に関する情報を自動的にスクリーニングすることが可能です。

細胞観察のプロセスを自動化することによって安定かつ正確な評価が可能になり、再現性の確保と作業時間の短縮につながります。



自動で画像取得・画像データ解析ができる装置の種類

細胞観察に用いられる装置には、さまざまな種類があります。観察対象や目的に合わせて選択することが必要です。


▼細胞観察に用いられる装置の主な種類

装置
概要
ライブセルイメージング装置
細胞を固定せずに形態・数・動きなどの活動状態をリアルタイムに観察・測定する装置
シングルセルイメージング装置
細胞一つひとつに識別用のタグを付けて、細胞の独立した情報や細胞集団の特性などのデータを取得・解析する装置
ハイコンテントイメージング装置
複数の細胞パラメータを同時かつ高精度に取得してデータ解析を行える高スループットなセルイメージング装置


ライブセルイメージング装置は、生きた細胞の活動を連続的かつリアルタイムに観察できるため、時間変化に伴う細胞の現象を捉えられます。

シングルセルイメージング装置は、数百~数万個に及ぶ膨大な細胞集団のなかから、一つひとつの細胞を追跡して観察できるため、細胞の不均一性を捉えられます。主に遺伝子解析の分野で使用されます。

ハイコンテントイメージング装置は、従来のセルイメージング装置と比較して高いスループット性を備えているため、大量の細胞サンプルを効率的にスクリーニングする際に役立てられます。



細胞観察・解析に適したイメージング用マイクロプレートの選び方

細胞観察での検出精度を高めるうえで、マイクロプレートの色選びは重要なポイントとなります。細胞観察装置を利用したイメージングにおいては、鮮明な画像を取得できるクリア(透明)ベースのイメージングプレートが適しています。


検出方法に適したマイクロプレートの色

検出方法
マイクロプレートの色
吸光法
透明
発光法
白クリアボトム
蛍光法
黒クリアボトム


日本ゼオンが開発・提供する『Aurora™ Microplates』は、高性能・高精細なイメージングを可能にするシクロオレフィンポリマー製のマイクロプレートです。

一般的なポリスチレン製と比べて高い透明性・低い自家蛍光・平坦性を備えているため、クリアで鮮明な画像をダイナミックレンジで取得できます。

製品資料やサンプルの請求はこちらからお問い合わせください。

  AURORA™ | お問い合わせ Aurora™ Microplatesのマイクロプレートはシクロオレフィンポリマー(COP)製で、高い透明性と平坦性を備えた高性能イメージングプレートです。細胞、核酸、タンパク質などの蛍光画像を鮮明に、短時間で撮影できる特長があります。さらに、細胞培養用プレコートマルチウェルプレートは、培養から観察までの一連の作業に最適です。 日本ゼオン株式会社



まとめ

この記事では、細胞観察について以下の内容を解説しました。


  • 細胞観察の技術
  • 細胞観察に用いられる代表的な方法
  • 細胞観察における評価手法
  • 細胞観察に用いられる装置の種類


細胞観察では、無染色法と蛍光染色法の技術をベースとして、目的や観察対象の性質に応じた観察方法が選択されます。

顕微鏡を用いた目視評価の場合には、観察者による評価のばらつきや作業効率の低下などの問題が生じます。より安定かつ定量的な評価を行うには、自動で画像取得・画像データ解析が可能な細胞観察装置を利用することが有効です。

また、細胞観察装置を利用してイメージングを行う際は、鮮明な画像を取得できるマイクロプレートを選ぶこともポイントです。

Aurora™ Microplates』は、シクロオレフィンポリマーを使用した透明性の高いマイクロプレートです。一般的なポリスチレン製と比べてより鮮明な画像をダイナミックレンジで撮影でき、イメージングの効率化・精度向上につながります。

詳しい製品情報については、こちらからお問い合わせください。

  AURORA™ | お問い合わせ Aurora™ Microplatesのマイクロプレートはシクロオレフィンポリマー(COP)製で、高い透明性と平坦性を備えた高性能イメージングプレートです。細胞、核酸、タンパク質などの蛍光画像を鮮明に、短時間で撮影できる特長があります。さらに、細胞培養用プレコートマルチウェルプレートは、培養から観察までの一連の作業に最適です。 日本ゼオン株式会社


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