iPS細胞の研究分野における活用。マイクロプレートで効率的な細胞培養を実現
研究分野においては、動物や植物から取り出した細胞を人工的な環境で増殖・維持する細胞培養が実施されています。
なかでも医療に関連する研究において重要となっているものが、iPS細胞の培養です。
この記事ではiPS細胞の培養や研究分野での活用、ポイント、培養に適したマイクロプレートについて解説します。
なお、培養細胞を用いたセルベースアッセイについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
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iPS細胞とは
iPS細胞とは、身体を構成するさまざまな組織や臓器の細胞に分化できる多能性幹細胞の一種です。“Induced Pluripotent Stem cell”の略で、日本語に訳すと“人工多能性幹細胞”となります。
iPS細胞以前にもES細胞やntES細胞などの多能性幹細胞が研究されてきましたが、生命倫理上の問題を抱えていることや、人体への移植時における拒絶反応のリスクなどが課題でした。
iPS細胞は多能性幹細胞を人工的に培養することでこれらの問題を解決しており、再生医療の分野を筆頭に活用へ向けた研究が進められています。
研究分野におけるiPS細胞の活用
iPS細胞は再生医療だけでなく、医療に関連した研究分野においても活用が進められています。
▼研究分野におけるiPS細胞の活用例
- 難病の研究
- 新薬の開発 など
難病を患っている人の細胞からiPS細胞をつくって分化させることで、その病気を反映した細胞のモデルとして活用できます。病気が起こるメカニズムの解明や、治療方法の確立などに役立てることが可能です。
また、新薬の開発で必要な副作用や毒性の検査においても、iPS細胞の活用が可能です。従来は動物で検査してから人間の体で臨床試験を行っていた工程に人間由来のiPS細胞を用いることで、新薬の開発をより安全で効率的に進められると考えられます。
iPS細胞の培養におけるポイント
iPS細胞の培養を行う際は、コンタミネーションの回避や定期的なモニタリングが重要です。
コンタミネーションを回避する
iPS細胞の培養においては、コンタミネーションの回避が求められます。
コンタミネーションは、混入や汚染を意味します。コンタミネーションが起こった場合、実験結果の正確性が損なわれる要因となります。
細菌や真菌、マイコプラズマなどによるコンタミネーションを防ぐには、実験器具の点検・消毒による無菌操作が欠かせません。
加えて、培地や血清中の不純物によってコンタミネーションが発生する場合もあるため、培養環境の選定時に留意しておく必要があります。
細胞密度を定期的にモニタリングする
iPS細胞の培養においては、細胞密度の定期的なモニタリングが欠かせません
iPS細胞を分化させずに維持して培養するには、細胞密度を高すぎず低すぎない状態に保つことが必要です。
細胞密度を適切に維持できない場合、細胞の分化が進んでしまい、さまざまな組織・臓器の細胞に分化できる多能性幹細胞としての特性を喪失してしまう可能性があります。
細胞密度をモニタリングすることで、細胞密度の維持が行いやすくなります。
細胞培養に適したオリジナルコートプレート
iPS細胞の培養を効率的に実施するには、マイクロプレートの活用が有効です。マイクロプレートが持つ複数のウェルを用いることで、細胞培養をより効率的に実施できるようになります。
『CELLAZIP™ 細胞培養用オリジナルコートプレート』は、iPS細胞を含むさまざまな細胞の培養に適したマイクロプレートです。神経細胞に対応したFシリーズと心筋細胞・幹細胞に対応したGシリーズがあります。
アニマルフリー原料を使用したコート剤でコートしているため、培地の動物成分によるコンタミネーションを回避できます。また、ガラスに近い光学特性を持つシクロオレフィンポリマー製のため透明性が高く、観察性に優れます。
さらに、高い接着性を有するコート剤をコート済みのため、開封後そのままお使いいただけます。
まとめ
この記事では、iPS細胞について以下の内容を解説しました。
- iPS細胞の概要
- 研究分野におけるiPS細胞の活用
- iPS細胞の培養におけるポイント
- 細胞培養に適したオリジナルコートプレート
iPS細胞は、身体のさまざまな組織や臓器の細胞に分化できることから、再生医療だけでなく研究分野においても活用が期待されています。
iPS細胞の培養を行う際は、コンタミネーションの回避と細胞密度の定期的なモニタリングが欠かせません。
『CELLAZIP™ 細胞培養用オリジナルコートプレート』は、アニマルフリーな培養環境を実現する観察性に優れたマイクロプレートです。
iPS細胞の培養をはじめ、薬物スクリーニング、ハイコンテントスクリーニング、細胞観察、がん・神経・細胞研究などさまざまな分野での培養器材としてお使いいただけます。
詳しい製品情報については、こちらからお問い合わせください。