研究・実験用のマイクロプレートリーダーとは。用途や測定対象について
生物学的・化学的な反応や特性を効率的に分析するための“マイクロプレートリーダー”は、研究・実験において欠かせない機器の一つです。
マイクロプレートリーダーによって性能や搭載された検出モードなどが異なるため、用途に合わせて選ぶ必要があります。
この記事では、マイクロプレートリーダーの基礎知識と主な用途、高性能なイメージングが可能なマイクロプレートについて解説します。
『サンプル』についてはこちらからお気軽にお問い合わせください。
目次[非表示]
マイクロプレートリーダーとは
マイクロプレートリーダーとは、マイクロプレートのウェル内に注入したサンプルを生物学的・化学的・生化学的に分析する機器です。
分析対象から得られる反応や経時的な事象の変化が光シグナルとして変換され、マイクロプレートリーダーがそれを検出することで定量データを得られます。
マイクロプレートのウェル数に応じて複数のサンプルを同一条件下で一括測定できることから、研究開発での実験時間と試薬コストを削減することが可能です。
実験や臨床試験における測定作業の効率化を実現することにより、研究者がより多くの時間をデータ解析や考察に充てられるようになります。
なお、マイクロプレートの種類や選び方についてはこちらをご確認ください。
マイクロプレートリーダーの用途
マイクロプレートリーダーは、基礎研究や製品開発での生化学アッセイ、セルベースアッセイなどの幅広い用途においてさまざまな分野で活用されています。
▼マイクロプレートリーダーが活用される分野
- 細胞生物学研究
- 創薬、薬品研究
- 生化学的検査
- 食品・衛生化学研究
- 食品・衛生検査
- 環境測定 など
マイクロプレートリーダーのなかには、数種類の測定データを一括で読み取るマルチモードが備わった機器もあり、研究室のスペースが限られている場合でも効率的に実験・検査を行えます。
マイクロプレートリーダーで検出できる測定対象
マイクロプレートリーダーを用いて検出できる一般的な測定対象は、吸光度・蛍光・発光の3つが挙げられます。
➀吸光度
吸光度とは、溶液に光を照射した際に吸収される光の量を指します。マイクロプレートのウェル内にあるサンプルに光を照射して、吸収・透過する光子を検出することによって測定を行います。
吸光度は、入射光と出射光値の対数比を示す光学濃度(OD)で算出されることから、絶対値として測定することが可能です。
▼吸光度測定が行われる実験例
- 細菌や微生物の増殖・生存測定
- タンパク質の定量
- 抗原・抗体の濃度測定(ELISA) など
②蛍光
蛍光とは、溶液の原子や分子が光を吸収したあとに発光する性質のことです。
マイクロプレートリーダーの光源から特定の波長を持つ光を照射して、溶液自体が放出した光を検出することによって蛍光強度を測定します。
ただし、溶液自体の発光を検出する蛍光測定では、使用する機器や測定条件によって数値が変動します。測定値を比較するために、蛍光強度の定量化にはRFU(相対蛍光単位)という単位が用いられます。
▼蛍光測定が行われる実験例
- カルシウムアッセイ
- 細胞生存率・細胞毒性の測定
- 蛍光タンパク質の定量
- ナノ粒子分析 など
蛍光測定に適したマイクロプレートについてはこちらの記事をご確認ください。
③発光
発光とは、化学反応または酸素反応によって物質が発光することです。
発光試薬を使ってウェル内にある溶液の化学反応や酸素反応を発生させることによって、物質が放出する発光強度を測定します。
発光測定では、使用する機器や測定条件によって数値が変動するため、吸光度測定のように絶対値ではありません。そのため、蛍光測定と同様に相対的な単位となるRFUが使用されます。
▼発光測定が行われる実験例
- 細胞生存率・細胞毒性の測定
- 酵素活性測定
- レポーター遺伝子アッセイ
- マイコプラズマ検査 など
なお、発光測定では原子や分子を励起するための光源が必要ないため、蛍光測定よりもシンプルな検出方法といえます。
セルベースアッセイに適したイメージング装置
より高度なサンプル情報の分析が求められるセルベースアッセイでは、マイクロプレートリーダーではなくイメージング装置を使用することがあります。
イメージング装置は、可視光線・赤外線・電磁波・放射線などのエネルギーを使用して、物質の形態観察や構造解析などを行う装置です。
研究開発や臨床検査の分野で用いられるイメージング装置にはさまざまな種類があり、用途や検出対象に合わせて選ぶことが可能です。
▼イメージング装置の代表的な種類
種類 |
概要 |
ハイコンテント
イメージング装置
|
複数のパラメータを同時かつ高精度で測定して画像化することで、細胞の詳細な情報を取得する |
フローサイトメーター |
溶液中の細胞にレーザー光を照射して、放出された散乱光や蛍光を検出することで細胞の構造的・機能的な特徴を測定する |
ライブセル解析装置 |
顕微鏡で細胞をリアルタイムで記録して、長期間の形態観察や連続的な記録データによる解析を行う |
シングルセル解析装置 |
数百~数万個の細胞一つひとつのデータを取得して、細胞間の差異や相関関係を分析する |
高性能のイメージングが可能なマイクロプレート『Aurora™ Microplates』
『Aurora™ Microplates』は、イメージングに適したシクロオレフィンポリマーを使用した高性能・高精細なマイクロプレートです。
シクロオレフィンポリマーは、光学特性ガラスに近いプラスチック素材です。一般的なマイクロプレートで使用されるポリスチレン(PS)と比べて透明性が高くクリアな画像が得られるため、イメージング用に適しています。
▼Aurora™ Microplatesの特徴
- ポリスチレン(PS)よりも透明性が高く鮮明な画像を撮影できる
- 自家蛍光が低く、弱い光シグナルも検出できる
- プレート・ウェル底の平坦性が高く効率的な検出ができる など
鮮明かつダイナミックレンジでの画像撮影を短時間で行えるため、イメージングの作業時間短縮につながります。
製品資料はこちらからお問い合わせください。
まとめ
この記事では、マイクロプレートリーダーについて以下の内容を解説しました。
- マイクロプレートリーダーの概要
- マイクロプレートリーダーの用途や活用分野
- マイクロプレートリーダーで検出する測定対象
- セルベースアッセイに適したイメージング装置
- イメージングに適したマイクロプレート『Aurora™ Microplates』
マイクロプレートリーダーは、ウェル内にあるサンプルの生物学的・化学的・生化学的な反応・特性を光学的な手法を用いて測定します。生物学や生化学分野の研究、食品・衛生、創薬、環境測定などの幅広い分野で活用されています。
また、より高度な分析が求められるセルベースアッセイでは、イメージング装置が用いられます。イメージングにおいては、鮮明かつ高精度な画像撮影が可能なマイクロプレートの選定が必要です。
シクロオレフィンポリマーで作られたマイクロプレート『Aurora™ Microplates』は、一般的なポリスチレン製と比べてより鮮明な画像をダイナミックレンジで撮影できることが特徴です。イメージング用の高性能・高精細なマイクロプレートをお探しの方は、こちらからサンプルをお試しください。