蛍光検出の原理とは。測定に適したマイクロプレートの選び方

蛍光検出の原理とは。測定に適したマイクロプレートの選び方

マイクロプレートを用いてサンプルの物理的な反応や生化学的・生物的・化学的な特性を測定する方法の一つに“蛍光測定”があります。

効率的かつ精度の高い蛍光測定を行うには、実施するアッセイの特性に応じたマイクロプレートを選ぶことが必要です。

この記事では、蛍光測定の方法や検出の特性、マイクロプレートの選び方、より高精度な測定に役立つマイクロプレート製品について解説します。

サンプル』についてはこちらからお気軽にお問い合わせください。


目次[非表示]

  1. 1.蛍光とは
  2. 2.蛍光検出の原理・測定方法
  3. 3.蛍光検出の特性とアッセイの分野
  4. 4.検出対象に適したマイクロプレートの選び方
  5. 5.クリアかつ低い自家蛍光性を備えた『Aurora™ Microplates』
  6. 6.まとめ


蛍光とは

蛍光とは、原子や分子が光を吸収したあとに、励起状態※1に遷移した物質が基底状態※2に戻るときに光を放出する性質のことです。

サンプルの光学的な性質を検出して分析するマイクロプレートリーダーに搭載された外部光源を使用して、特定の波長を持つ光を照射することで物質を励起します。

励起状態になった物質が基底状態に戻る際に、吸収したエネルギーの損失とともにより長い波長の光を放出します。この放出された光を光電子増倍管(PMT)で検出することで蛍光を測定します。

蛍光検出は、さまざまな分野のアッセイで実施されています。


▼蛍光検出のアッセイ例

  • カルシウムアッセイ
  • 細胞生存率・細胞毒性の測定
  • 蛍光タンパク質の定量
  • ナノ粒子分析 など


※1…エネルギーの吸収により一時的に高いエネルギーの状態に移ること

※2…エネルギーが低く安定した状態のこと



蛍光検出の原理・測定方法

蛍光測定には、蛍光検出機能が搭載されたマイクロプレートリーダーを使用します。マイクロプレートリーダーでは、発蛍光物質を励起する光源としてキセノンランプやLEDが使用されることが一般的です。

サンプルを照射する光の波長については、特定の励起フィルターまたはモノクロメーターのいずれかを選択します。


▼マイクロプレートリーダーを用いた蛍光測定の原理

  1. サンプル(発蛍光物質)に特定の波長を持つ光を照射する
  2. 光で励起したサンプルから放出された光を光電子増倍管(PMT)が検出する
  3. 検出した光の強さに応じて光電子増倍管(PMT)が電気信号に変換する
  4. マイクロプレートリーダーによって蛍光シグナルの強度を定量化する


マイクロプレートリーダーで測定する蛍光強度は、絶対的な値ではなく測定日や使用する機器によって変動します。そのため、サンプルの測定値は“RFU(相対蛍光単位)”と呼ばれる相対的な単位が使用されます。

なお、マイクロプレートリーダーについてはこちらの記事をご確認ください。

  研究・実験用のマイクロプレートリーダーとは。用途や測定対象について 生物学的・化学的な反応や特性を効率的に分析するためのマイクロプレートリーダーは、研究・実験において欠かせない機器です。この記事では、マイクロプレートリーダーの基礎知識と主な用途、高性能なイメージングが可能なマイクロプレートを解説します。 日本ゼオン株式会社



蛍光検出の特性とアッセイの分野

マイクロプレートリーダーを用いた蛍光検出には、主に3つの特性があります。


▼蛍光検出の特性

  • 吸光度検出よりも感度が高い
  • ダイナミックレンジでの測定が可能
  • 測定時のノイズを低減できる など


蛍光測定では、サンプルが放出する光エネルギーを直接検出できます。光を照射した際に透過した吸収量を測定する“吸光度検出”と比べて、高い感度で測定を行えるため、アッセイの時間・コストの削減につながります。

また、蛍光シグナルが弱い・強いものまで幅広い範囲での検出を行えることから、ダイナミックレンジでの測定が可能になります。

さらに、蛍光検出の対象は発蛍光性物質に限定され、発蛍光性を持たない物質については検出されません。サンプルに合わせた波長を選択することで、マイクロプレートによる光散乱や自家蛍光を原因としたノイズを低減できるようになります。



検出対象に適したマイクロプレートの選び方

マイクロプレートにはさまざまな色があります。検出対象に合わせてサンプルの情報を高感度で検出できる色を選ぶことが必要です。


マイクロプレートの色選択


▼【検出対象別】マイクロプレートの色選択について

検出対象
選択するマイクロプレートの色
蛍光(蛍光強度法)
黒色ソリッド・クリアボトム
吸光
透明
発光
クリアボトム・白色ソリッド


サンプルが持つ励起・蛍光波長を検出する蛍光検出(蛍光強度法)では、黒色ソリッドまたはクリアボトムのマイクロプレートが適しています。


マイクロプレートの種類や形状についてはこちらの記事をご確認ください。

  生化学分析や細胞培養に用いるマイクロプレートとは。種類や色、材質による違い 新薬開発や研究分野の実験においては、生化学分析や細胞培養、スクリーニングなどを効率的に実施するためにマイクロプレートが欠かせません。 日本ゼオン株式会社
  マイクロプレートにおけるウェル数と形状による違い。観察用途には平坦性が重要 新薬開発や研究分野の実験におけるさまざまなプロセスで用いられるマイクロプレートには、ウェルと呼ばれる複数の小さな区画があります。 日本ゼオン株式会社



クリアかつ低い自家蛍光性を備えた『Aurora™ Microplates』

Aurora™ Microplates』は、光学特性ガラスに近いプラスチック素材の“シクロオレフィンポリマー”を使用した高性能・高精細なマイクロプレートです。

一般的なポリスチレン(PS)製のマイクロプレートと比べて透明性・平坦性があり低自家蛍光性を備えているため、より高度なサンプル分析を行う蛍光イメージング用のマイクロプレートに適しています。

Aurora™ Microplatesとポリスチレン製のマイクロプレートによる自家蛍光の比較は、以下のとおりです。


▼自家蛍光性の比較


マイクロプレートの自家蛍光によるノイズを低減して、サンプルから放出された幅広い強度のシグナルを検出することが可能です。より鮮明な画像をダイナミックレンジで測定できることから、撮影時間の短縮につながります。

製品資料はこちらからお問い合わせください。

  AURORA | お問い合わせ Aurora Microplatesのマイクロプレートはシクロオレフィンポリマー(COP)製で、高い透明性と平坦性を備えた高性能イメージングプレートです。細胞、核酸、タンパク質などの蛍光画像を鮮明に、短時間で撮影できる特長があります。さらに、細胞培養用プレコートマルチウェルプレートは、培養から観察までの一連の作業に最適です。 日本ゼオン株式会社



まとめ

この記事では、蛍光測定とマイクロプレートについて以下の内容を解説しました。


  • 蛍光とは
  • 蛍光検出の原理・測定方法
  • 蛍光検出の特性とアッセイの分野
  • 蛍光測定に適したマイクロプレート
  • 蛍光イメージングに適した『Aurora™ Microplates』について


研究開発や臨床検査で実施する蛍光検出では、光源を使用して発蛍光物質を励起することによって放出された物質自体の蛍光強度を測定します。

サンプルが持つ励起・蛍光波長を高感度で検出するには、黒色ソリッドまたはクリアボトムのマイクロプレートが適しています。

また、より高度な分析を行う蛍光イメージングでは、ポリスチレン製と比べて透明性・低自家蛍光性などに優れたシクロオレフィンポリマー製のマイクロプレートが有効です。

Aurora™ Microplates』は、一般的なポリスチレン製と比べてより鮮明な画像をダイナミックレンジで撮影できるシクロオレフィンポリマー製のマイクロプレートです。蛍光イメージング用の高性能・高精細なマイクロプレートをお探しの方は、こちらから『サンプル』をお申込みください。

  AURORA | お問い合わせ Aurora Microplatesのマイクロプレートはシクロオレフィンポリマー(COP)製で、高い透明性と平坦性を備えた高性能イメージングプレートです。細胞、核酸、タンパク質などの蛍光画像を鮮明に、短時間で撮影できる特長があります。さらに、細胞培養用プレコートマルチウェルプレートは、培養から観察までの一連の作業に最適です。 日本ゼオン株式会社


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